2ガジュマル
ついに待望のザ・ローリングストーンズのニューアルバム「ブルー&ロンサム」が発売されました!
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ストーンズが動き出すと世界中が少々ざわつきますね。

他のアーティストがアルバムを出すのとは少し違って、ちょっとしたお祭り感覚です。

ストーンズの場合はライブも単なるライブではなく、どちらかというとお祭り、ロックンロールのお祭りという感じです。

世界の人がクリスマスを楽しんだり、ハロウィンを楽しんだりするのと似たようなものですね。

ただ毎年決まった日にあるお祭りとは違って、こればかりは彼らの気まぐれ、日にちは決まっていないのです。

だからちょっと世界がざわつくんですね。

「とうとうお祭りの日が来たか」

ってなるわけですね。


当然今回のアルバムも、世界中の至る所で、皆それぞれの思いで聴いていることと思います。

世界中のラジオでもあちこちでオンエアされていることでしょう。

そう考えると不思議ですね。

あの国の人も、この国の人も、南の島の人も、寒い北国の人も、時差はあるものの、皆同じようにこのアルバムを今聴いているのかと思うと。


そして今回のアルバムはブルースのカバー集。

新曲によるオリジナルアルバムではないことや、新鮮味がないことに、がっかりした人もいるようですが、これはもう賛否を議論するような次元のアルバムではないと思いますね。

万人受けするものではないことは分かっていますが、僕はこういうのを待っていました。

よく言われる、年齢のわりにはとか、3日でレコーディングしたわりにはとか、そんなことは一切関係ないのですよ。

あえて先月発売されたクロマニヨンズの「ビンボロール」の曲に例えるなら、

「光線銃」の

 新しいとか 古いとか
 
 それよりもっと ただ好きだから

という感じではないでしょうかね。

年代とかももう関係ないのですよ。

理屈じゃないんですね。


思えば、ストーンズのデビュー当初のアルバムなんて、殆どブルースやリズム&ブルースのカバー曲でしたね。

そもそも、このアルバムを出すに至った動機が、

はじめは新曲をレコーディングをしていたらしく、その新曲ばかりやっていたら飽きてしまって、なんとなくブルースを何曲かセッションしたところ、楽しくなってきて、このアルバムのレコーディングに至ったというのが、なんともストーンズらしいですねw

聴く側の身としても、演奏していてすぐ飽きてしまうような新曲よりも、本人達が楽しいと思って演奏しているブルースのカバーのほうが聴きたいですよね。

ただ、ストーンズがブルースをやることは何も特別なことではなくて、これまでもずっとやってきたわけですし、僕もずっと聴いてきてるわけなので、ある程度想像の付く範囲のものだろうと、そこまでの期待感というのはなく、ただ素直にこういうアルバムが出てくれて嬉しいと思ったぐらいなのですが、

実際に聴いてみたら、これまた素晴らしい!

嬉しくなるような素晴らしさ。

もちろんアナログで聴きましたよ。
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CDと両方聴きましたが、やはりアナログのほうが音が良いですね。

各パートの音がよく聴き取れる気がします。

特にストーンズのサウンドの要でもある、チャーリー・ワッツのシンバル系の音がすごくいい感じに響いてくる感じがしました。

音的にはアナログ盤がお勧めです。

ただ全12曲42分のアルバムでありながら片面3曲ずつ入った2枚組なので、ひっくり返したりするのは面倒ですw

でもこれも音質を考慮したものらしいですね。あまり詳しくは知りませんが、レコードの内側のほうまで溝を掘るのはあまり音的に良くないとか?そんな感じらしいです。

昔、ヒロトもライブのMCで、レコードの収録時間によって音質や音量の制約が生じてしまうというのを話していた記憶があります。なのでクロマニヨンズの曲が短く、アルバム全体も40分程度に収めてあるのにはそういった理由もあるんですね。

CDでも、もしかしたら今流行りのカセットテープにダビングして聴いてみたら面白いアルバムかも。


話を戻しますが、カバーの選曲も渋いですね。

ストーンズの名前の由来にもなっている、マディ・ウォーターズのカバーや、王道のロバート・ジョンソンあたりのカバーがないのがちょっと意外な気もしますが、この辺のマニアックな選曲もストーンズらしいですよね。

リトル・ウォルターのカバーが12曲中4曲もあるのも興味深い。

今回のアルバムはミックジャガーのボーカルとハープがすごく際立っていると感じたのですが、ウォルター意識してハーモニカにも力が入ったかな??すごくかっこいいです。
アルバムのタイトルをウォルターの曲から取ったのもうなずけます。

個人的にはハウリン・ウルフの「コミット ア クライム」のカバーが嬉しかったですね。元々好きな曲だったので。


ストーンズのアルバムと言えば、1曲目がインパクトのある入り方であることが多いですが、今回はかなり自然にさらっと始まる感じですね。これはこれで狙ってる感がなくて、嫌いじゃないかも。

5曲目の「アイ ガッタ ゴー」なんか聴いてると、デビュー当初のストーンズの画が浮かんできそうです。

キースが「このアルバムはブライアン(ジョーンズ)も気に入ってくれるだろう」と話していたもの、分かる気がします。


そして、エリック・クラプトンも2曲ほど参加していますが、

クラプトンって、どこで聴いてもそれがクラプトンだとすぐ分かるような、いわゆるクラプトン節的な演奏で、それが目立ちすぎると嫌だな~とか思っていたのですが、このアルバムでは意外にも自然に馴染んでいていいですね。
昔、チャーリーとクラプトンが参加した、ハウリン・ウルフとのアルバムをちょっと思い出してしまいました。


いや~、それにしても本当に素敵なアルバムですね。

各曲短めで、アルバム全体も12曲に収めてくれたのも嬉しい。

最近のブルースとか、ギターソロ全開のブルース系の曲なんかは、けっこう無駄に長い曲が多かったりするので、このくらいのほうが聴きやすいですね。

世間的な評価は分かりませんが、個人的にはストーンズの歴史の中でも名盤の類に入るようなアルバムだと思っています。

何よりも演者側がすごく楽しそうなのが良いですね。

でも何だかんだ、このアルバムで一番楽しんでいるのは、チャーリー・ワッツなのではないかと密かに思っています。なんか自由に感覚的に叩いている感じがしていいんですよね~。それが結果的にイチイチ格好いい。上手く説明できないのですがw

なんというか、ストーンズがブルースをやると、それを「ブルース」と呼ぶよりも、「ブルース&ロール」とでも呼ぶほうがしっくりくるかも。


まあ、あれこれと書いても上手くまとまらなそうなので、

実際にオフィシャルのほうでも動画をアップしているのでそれを紹介してお別れしましょう。

まずはこの曲。

こういう動画見ると、映画のサントラなんかにも使えそうな感じですよね。

この曲を聴くとストーンズのオリジナル曲「ブラック・リムジン」なんかを思い出しますね。

そしてこの曲。

これはリトル・ウォルターの曲のカバー。

1コードで行けちゃうのもブルースの魅力ですね。

ハーモニカもいいですね!


そしてこのアルバムとは関係ないけど、

こんな素敵な動画も見つけたので、ちょっと紹介。

名盤「レット イット ブリード」に収録されていた「カントリー ホンク」。

今の演奏を聴いても昔と変わらぬカッコ良さがあります。

そうそう、最後に、このアルバムの原曲を、このアルバムの曲順通りにまとめたCDが、次号の「ブルース&ソウル・レコーズ」という音楽雑誌の付録として付くらしいので、興味ある方はこれも予約必須ですね!
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