移転するとかしないとか?
延期するとかしないとか?
何かと話題の築地市場ですが、
実は僕、東京生まれ東京育ちでありながら、ほとんど行ったことがないんですよね。
いや、市場の前の道は仕事などで頻繁に通ることはあったのですが、
実際に中に入ってみたことは一度もなかったのです。
そんなある日のこと、
土曜の朝でした。
友人から一本の電話が。
「もしもし、今日仕事休み?」
「うん」
「今からちょっと築地行かない?」
「え?今から??」
「うん、ちょっと欲しいものがあって、、早く行かないと市場閉まっちゃうんだよね」
「ああ、そうか」
(まあ、築地行ったことないし興味あるから行ってみるか・・・)
「OK!」
そして、15分もしないうちに彼は車でうちまで迎えに来てくれました。
そしてさっそく車に乗り込み、いざ築地へ。
「ところで築地で何買うの?」
「ちょっと鰹節買おうと思って」
「ほおほお」
何やら築地には鰹節の専門店があるようです。
彼は意外と料理好きでけっこう拘るところがあるので、今回もそんな感じの食材選びだと思って着いて行きました。
「じゃあ俺もなんか魚とか良さげなのあったら買うわ」
そして15分ほどして築地に到着。
さっそく例の鰹節専門店に行きます。
一面鰹節だらけです。
素人の僕が見てもよく分かりません。
そんな中、彼は店員さんに話しかけあれこれ聞いています。
「これとこれは何が違うんですか?」
店員
「これはナントカで、こっちはカントカ」
「へぇ~~、なるほど」
僕にはよく分かりません。。
そして彼はその場では買わず、
「ちょっと場内のほうも見てみようか?」
「いいね」
とりあえず一旦その店は離れ、市場の中のほうを見てみることにしました。
行ってみると、時間も遅いせいか、売れ残り感が否めない魚がそれなりに置いてました。
そんな中、マグロとかもけっこう安かったので、僕はそれらを色々買うことにしました。
彼もつられてマグロなど色々買いました。
あと鮟肝とかも買った記憶があります。
そして再び、先ほどの専門店に戻り、今度は迷った挙句決めた鰹節を買いました。
どんな鰹節なのか僕にはさっぱり分かりません。
まあ、美味しい料理でも作るのでしょう。
「あ、昼飯どうする?」
「なんか食ってく?」
築地には色々な飲食店も立ち並んでいるのです。
「あ、そうだ、うちでご飯食べる?」
「マグロも買ったし鉄火丼でも作るよ」
「おお~、いいね~」
そのまま彼の家に直行することにしました。
その間、彼の嫁さんに電話を入れ、ご飯を炊いておくようにお願いしておきました。
そして家に着くと彼は、さっそく調理にかかります。
僕と嫁さんは、リビングで雑談をしながら出来上がるのを待ちます。
昼間っからビールも開けたりと、
休日ならではの優雅なひと時です。
しばらく時間が経ち、
友人の嫁
「てか、遅くね??」
なかなか鉄火丼が出来上がらないことに、イライラしてきたのか、
「さっきからあんた何やってんの!?」
「鉄火丼なんて、マグロ切って乗っけるだけじゃないの!?」
「え、、いや、違うんだよ・・」
彼は細かいところに拘るタイプなのです。
「もぉ~、ホントこいつ、、こういうところなんだよね~」
(僕に愚痴を言うのやめて下さい・・・)
僕は昔から彼が凝り性なところを知っているので何とも思いません。
むしろ手間暇かけてくれて有り難いくらいなのですが、
ふと、さっき買った鰹節のことが気になりました。
(きっと、これも美味しい料理を作るための材料に違いない)
「そういえば、さっき買った鰹節って何に使うの?」
やっぱり気になったので聞いてみました。
「ああ、あれ猫のご飯・・」(ペットの猫)
「え・・・・・・・」
「ええええええええ!?」
「うそでしょ!?」
「猫の餌!?!?」
「この人、餌とか言うとチョー怒るからwwww」
僕のあまりの衝撃の受け方が可笑しかったのか、嫁さんの機嫌も直ります。
「餌じゃないよ、ご飯」
「あんまり安い鰹節とかだと食べないんだよね~」
「・・・・・・」
「あ はい」
最近ニュースで移転の話題が出るたびに、
築地での唯一の思い出でもある、
こんな話を思い出すのです。
おしまい。
夫婦で飼っているペットの猫の餌だったというオチですが、
最後の最後まで、鰹節のことについて聞かなかった自分を褒めたいと思います。