2ガジュマル
はい、さっそく前回の続きと行きましょうか。

今回は具体的な楽曲も含めてお話していきたいと思います。


以前ですね、職場でよくチャック・ベリーをBGMとして流していたことがあったのですが、

同僚のかたに、

「なんかどれも同じような曲じゃない?」

なんてことを言われたこともあったのですが、

まあ、そう感じてしまうのは確かに分かります。

まずコード進行に関しては、ロックやブルースでよくみられる典型的な3コード進行の曲が殆どで、

イントロも似たようなフレーズを使いまわしていることもありますから、

なんとなーく聴いてる人にはそう感じてしまうのは納得がいきます。


でもですね、やっぱり1曲1曲ちゃんと個性があってどの曲もそれぞれ聴きどころみたいなのがあるのですよ。

曲の構成やコード進行がほとんど同じにも拘わらず、リズムのバリエーションの豊富さは特に素晴らしいですよね。1曲1曲、リズムや微妙なノリ具合などちゃんと違いがあってどれを聴いても面白いものが多いです。

さらに踏み込んでみると、

そのバンドのアンサンブル(合奏)的な観点からみても、ギターは8ビートを刻んでいても、ドラムやベースは4ビートだったり2ビートだったりして、その辺からもジャズの名残みたいなものもあったりして、ホント興味深いアレンジになっていますね。
チャック・ベリーに限らずこの時代のロックンロールにはよく見られたことですが、こういう点を踏まえてもこの当時のロックンロールというのは面白いものが多いです。


これは個人的な考え方なのですが、

多くの人は時代が進むにつれて、音楽性の幅が広がっていき、ジャンルも多様化していき進化していっているように感じるかもしれませんが、
これは厳密にいうと、元々一つだったものを後の世代の人がその断片を切り取っていき、その部分だけを特化させていったということなんだと思うのです。

チャック・ベリーの音楽を聴いていると、その中には現在でいうところの様々なジャンルの要素が見え隠れしています。
多分この頃の人たちは今の人ほどジャンルの区別をして音楽には向き合っていなかったように思っているのですが、だからこれだけ自由度の高い楽曲が生まれてきたのかなとも思ったりします。

そこから後々色々なものが切り取られて今の音楽に至るというようなそんな個人的な印象を持っています。

さらにはそこに散りばめられたモノに地域性というようなものも加えられて変化していったのかなと。

なので、チャック・ベリーにしてみれば、自分は「地球」に住んでいるから「地球」の音楽をやっているだけで、その「地球」の音楽を聴いた人が、勝手に国境を作っていっちゃった感じですかね。
この辺は「アメリカ」としよう、ここからここまでは「中国」、「メキシコ」の人はここからこっちには来るな!なんて言う人も現れちゃったりして、今のジャンル分けの多様化が進んでいったというような感じ。

元々は「音楽」という名の「ひとつなぎの大秘宝」だったのだということです。

また変な例え方して訳分からなくなりましたがwそのくらい色々な要素をチャック・ベリーの音楽から感じるということが言いたいだけですw
ときにワールドミュージックのように感じることもありますしね。


で、実際の楽曲で、

「チャック・ベリーとか好きなんだよね~」

なんて会話をするとよく、

「ああ、ジョニー・B・グッドの・・・」

って返ってきて、大体そこで会話が終わります。

そんな感じで、よく知らない人でもこの曲ぐらいは知っているというくらい、

チャック・ベリー = ジョニー・B・グッド

のイメージは強いですよね。

実際この手の曲は多いのはたしかですが、

他にも色々かっこいい曲や面白い曲がいっぱいあるのです。


特に僕が面食らった曲と言えば

「ハバナ・ムーン」という曲。

中学生くらいの頃に聴いたわけですが、

これを聴いたことにより、すべての音楽の景色がガラッと変わったと言ってもいいくらい、音楽の価値観みたいなものが変わりました。
「カッコイイ」というものの概念が崩されたというかなんというか・・

似たような感覚はバディ・ホリーの「ノット・フェイド・アウェイ」を聴いた時にも感じたのですが、

ちょっと言葉では説明がしづらいので実際に聴いてみましょう。

今まで音楽というのは、コード進行があって盛り上がりの部分のサビがあってと、そういうのが当たり前だと思っていたのですが、これを聴いたときに、

「え、なんだろう、ずっと同じ感じが続いてくだけなのに、この癖になる感じ・・」

「音楽ってこういうことなのか!」

と中学生ながら初めて何かハッ!と気付かされた感じでした。

で、聴けば聴くほどこのリズムがハマってきて、そのリズムのカッコ良さやボーカルのカッコ良さに気づかされていくわけですね。

この他にも独特なリズムの「メンフィス・テネシー」だったり、「トゥー・マッチ・モンキー・ビジネス」の歌い方だったり、「アイム・トーキング・アバウト・ユー」 かっこいいベースアレンジや、疾走感の中に絶妙に絡み合うピアノが印象的な「ユー・キャント・キャッチ・ミー」など、

そしてもちろんですが、どの曲もギターは当然のことながらカッコイイしインパクトがあります。

で、前回もお話ししたようにチャック・ベリーのボーカルも含めて聴きどころ満載の曲はいっぱいあるのですが、1個1個触れていたらキリがないので止めておきましょう。


ちなみに先ほどの「ハバナ・ムーン」、

実はストーンズの最新のライブDVDでキューバで行ったライブ映像なのですが、

そのDVDのタイトルが、まさに「ハバナ・ムーン」なんです。
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その辺からもリスペクトが伺えますよね。


で、昨日、とあるフレの方から

「もしチャック・ベリーがいなかったら今の音楽はどうなっていたかね?」

なんて質問をされたのですが、

そこで僕は、

「まずストーンズが結成されていない可能性大で、そうなってくると、ヒロトとマーシーもバンド組んでいない可能性も出てくるな」

なんてことを言ったのです。

まあ、そんなこと言った根拠というのはですね、

子供のころから友達同士だったキースとミックは、引っ越しにより一度離れ離れになるのですが、何年かしてバスだか電車だかで偶然再会するのです。で、その時にミックがたまたまチャック・べリーのレコードを持っていたことから話が盛り上がり、バンドを組むきっかけとなったとか、そんなエピソードがあるのです。

なので、もっと言うとヒロトとマーシーがバンド組んでいなかったら、ドラクエ内での我々の出会いもなかったかもしれないのです。


まあちょっと話がそれましたが、

また楽曲の話に戻ると、

僕もそんな色々持っている訳じゃないのですが、

チャック・ベリーといえばこの1枚
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28曲も入っているベスト盤なので、この1枚だけでも聴いていれば十分楽しめます。

他にも、ライブ盤だったり、

チェスレコード所属ですので、実はマディ・ウォーターズとハウリン・ウルフとのブルースのセッションアルバムのようなものもあったりするのですが、

これもちょっと面白くてですね、

ブルースなんだけど、チャック・ベリーがソロを弾くところになったりすると急に明るい印象になるんですよ。

この人の人柄みたいなものが出ちゃうんでしょうかね。

時々ハワイアンっぽい?フレーズも飛び出したりすることもあるのが面白いですね。

その他にも同じくチェス所属のボ・ディドリーとのセッションなんかもありますね。これ歌の無いインストものなのですが結構カッコイイです。

興味あれば色々聴いてみて下さい。

僕も持っていたはずなのですが、CD-Rに焼いて、何も記載しなかったものですから、どこか行方不明になりましたw


あんまり長く話してもあれなんで、最後に2曲ほど紹介してお別れしましょうかね。

まずはですね、

ストーンズのデビューシングルでもある「カム・オン」

前回、オリジナルよりも良いカバーがあまりないというようなこと言いましたが、

意外とこれは好きですね。

本人たちはこのカバーに納得がいっていないようで、納得いかないままデビューとなったようですが、僕は好きですよ。

オリジナルのほうは少し気だるい感じのボーカルとホーンが印象的で、ドラムもめっちゃカッコイイのですが、

ストーンズのほうは目立つベースの音と、ブライアン・ジョーンズのハーモニカが印象的ですよね。

そして何と言っても、後半の転調ですね。

このアレンジは実に興味深い。ハーモニカはわざわざキーを変えて持ちかえるのかな??

この2分もない楽曲の中で後半転調とはなかなか意表を突いたアレンジ。

普通、4~5分の長い曲の中で、後半ダレないように少し色を変えたいときに、この手の転調を用いることがあるかと思いますが、このスピード感でさらっと転調する感じは好きですね。

ブルーハーツの曲で言えば「台風」なんかも後半こんな感じで転調してますね。


で、最後にチャック・ベリーへのオマージュと言えばこの曲!

マーシーの「GO!GO!ヘドロマン」

これはもろにチャック・ベリーですからねww

せっかくなので最後にこれ聴いてお別れしましょう!

これはもう分かりやすいくらい「ジョニー・B・グッド」系の曲ですね。

マーシーのダックウォークも観れますw


それではまた!
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