先日、チャック・ベリーが亡くなってしまいました。
90歳だそうです。
90歳までロックンロールを続けられたなら十分ですよね。
今の音楽シーンに残したものも大きいですしね。
この世の中、右見ても左見てもチャック・ベリーの面影しかないので、亡くなった気がしませんねw
チャック・ベリーについては以前も少しお話したかもしれませんが、やはりこういうタイミングですので、チャック・ベリーについて色々語ってみたいなという気持ちになっています。
なので今日はちょっと長くなりそうですが、僕の中のチャック・ベリーの思い出を語ってみましょう。
まず音楽好きな人同士の会話でよくあるのが、
「最近どう?」 ってっやつですね。
で、
「レコード聴いてるよ」 ってなりますよね。
そして、
「やっぱロックンロールでしょう」
ってなるんですね。
そんな感じで、好きな音楽について色々語ることがあるかと思いますが、
何故かそういう流れで、「チャック・べリー」のような王道の名前を挙げづらい風潮っていうのがあります。
あれなんでしょうね。
「好きな映画何?」
って聞かれたときに、ド定番のものを挙げづらい感じに似ているでしょうか。
確かに本当に見えたものが 一般論にすり替えられる
確かに輝いて見えたものが ただの奇麗ごとに変わる
心のどこかでそんなことを恐れていると同時に、定番のものしか知らないようなその程度の知識と思われそうな感じと、また今更語るまでもないその魅力をあえて語ろうとすることで、会話に水を差してしまうかもしれないというような、そんなことも頭をよぎってか、
「最近どんなの聴いてる?」
ってなったときに、
「やっぱチャック・ベリーはいつ聴いてもいいね!」
とは言いづらいんですよね。
分かりますかね?この感じ。
で、実際プロのミュージシャンの音楽雑誌のインタビューなんかを読んでも、会話の中でその名を聴くことは殆どありません。
でもそれはチャック・ベリーが軽視されているということではないと思います。
もしロックミュージシャンでチャックベリーが嫌いな人がいたら逆に知りたいというくらい、みんながみんな好きなチャック・ベリーなんですよね。だからもう逆に当たり前すぎて語られないんだと思います。
なのでもしもプロのミュージシャンでチャック・ベリーの魅力について伝えられない人がいたら、多分その人は本物ではないなとすら個人的には思ってしまうかもしれません。
それほどのキーマンなんですよ。
今でもちゃんとチャック・ベリーの名前を挙げて音楽について語るのってキース・リチャーズくらいじゃないですかねw
あの人は本当今でもしっかりと自分が影響受けたアーティストとしてもだけど、その偉大さというのをしっかりと現在のインタビューでも語り続けていますね。そこのブレのなさが流石です。
そんなチャック・ベリー、何が興味深いかって、まずはデビューの経緯ですかね。
デビュー時には年齢もそこそこいっていて遅咲きではあるのですが、
その売込みのためにデモテープを持ち込んだ先が、
あの「チェスレコード」なんですよ!
マディ・ウォーターズやハウリン・ウルフ、リトル・ウォルターなんかが所属するブルースの名門レーベルですね。
ちなみに前にも言ったことありますが、このドラセナのレストランの番地2120というのは、シカゴにあるこのチェスのスタジオがあった番地でして、いわゆる聖地ってやつですね。なので10億G積まれてもこの土地は譲りませんw
やはりロックンロール、ロックンロールとは言っても、根にあるものはブルースなんですね。
そして最初にマディ・ウォーターズの所へテープ持って行き聴いてもらい、その後オーナーのチェス兄弟の所へ持って行くように薦められたとか。
で、それを気に入ってレコードデビューすることになるのですが、
その時の曲がこのデビュー曲「メイビリーン」なわけです。
今までのブルースにはないビート感のようなものが、当時としてはかなり衝撃があったのではないでしょうかね。
その当時、ジョニー・ジョンソンという専属のピアニストと組んで演奏していたのですが、
まあ、ブルーハーツでいうところの白井さんのような感じですかね。
そのジョニー・ジョンソンも今までやってきていたブルースとは全く違うリズム、ビートで、始めは戸惑ったというようなことも語っています。
僕は個人的にロックンロールの歴史において、このチャック・ベリーとマディ・ウォーターズとの出会いというのが全てのターニングポイントになっているのではないかとさえ思いますね。
そのくらい歴史的な瞬間。
この当時のマディ・ウォーターズというのは、吉本興業でいうところの明石家さんま、ダウンタウンといった大御所のようなもので、その人に認められさえすれば!というようなことは頭にはあったかもしれませんね。
この出来事によりブルース界にもポピュラー音楽界にも新たな風が吹き始めるわけです。
野球で例えるなら、
「160キロ!大谷すげ~な!」
ってなっている翌年に、時速200キロで投げるピッチャーが現れちゃった感じですかね。
スポーツの記録って徐々に更新されていくものですが、一気に全く違った次元の記録を放ってしまった感じ。
でもですね、このピッチャーはお人好しだから時速200キロで投げるコツをみんなに教えちゃうんですよね。
で、「何だこれだけのコツで200キロ投げれちゃうのか!」って、みんな真似するようになるんです。
そして、その翌年から200キロで投げることが当たり前になってしまうんですね。
速さに例えて余計分かりづらくなりましたがwチャック・ベリーの曲テンポが速いとかというそういう意味ではないです。
要は、今僕らが聴いているような音楽の多くはチャック・ベリーが皆にコツのようなきっかけを与えてしまったのが波紋のように広がっている様なんです、きっと。
今なお、その「感動の波紋」が広がっているんですよ。
チャック・ベリーこそが「先頭のランナー」と言っても過言ではないわけです。
この出来事がいかに革新的だったかということは、有名な映画「バックトゥザフューチャー」の例の下りのところを観ても分かるかと思います。チャック・ベリーが未来から来た主人公の演奏をヒントにするという流れがありますね。
と、ここまでチャック・ベリーのデビューについてお話ししましたが、今度は楽曲などもう少し具体的なことにも触れていきましょう。
チャック・べリーといえばやはりギターヒーロー的なイメージが強いかと思います。
僕も実際に来日時にライブに行ったことありますが、図太いトーンでとにかくデカい音が印象的でした。
これがもう15年くらい前のことですから、その時点ですでに75歳前後だったんですね。
その時の前座が東京公演が奥田民生やYOーKINGらで結成されたOP・KINGで、福岡公演がハイロウズでした。
僕は東京公演しか行ってませんが、僕の友達はハイロウズ見たさに福岡まで行ってましたねw
で、実際の演奏観るとやっぱりロックンロールって、なんだかんだ言ってダンスミュージックだよなって思ったりもしました。
チャック・ベリーにしてみたら「踊れるブルース」みたいなノリでやって行ったら自然と出来あがったスタイルなのかもしれませんね。
この軽快さは自然と体が動いちゃいますものね。
そういうことは「ダックウォーク」などのパフォーマンスをも見ても頷ける部分があるかと思います。
で、どうしてもギターのことで注目されがちなチャック・ベリーですが、
僕が一番強調したいのは、
「シンガーとしてのチャック・ベリー」
ということです。
ここが一番声を大にして言いたい。
そして最も重要なポイント。
やっぱり結局のところボーカルが素晴らしいんですよ!
特にあのリズム感というかタイム感ね。
伴奏があって、そこにチャック・ベリーのボーカルが乗ると、そこからさらにリズムのウネリのようなものが生まれますね。これが何とも不思議で、歌のリズムが心地よいので恐らく伴奏の無いアカペラ状態で聴いても素晴らしい音楽になるんじゃないかなと想像します。
こういう言葉の持つリズム感のようなものっていうのは、現在のラップミュージックなんかにも精通するものがあると思います。韻を踏んだ言葉遊び的な要素も含めてかなり通じるものがありますよね。
もしも生まれる時代が違ったら、このチャック・ベリーという人は世界を震撼させるようなラップミュージシャンにでもなっていたかもしれませんね。
で、チャック・ベリーの曲はもうカバーされつくしたっていうくらい、多くのアーティストがカバーして歌っているわけですが、どうしてもオリジナルを超えるようなものっていうのは数少ないですね。
その一番の要因っていうのがやっぱりボーカルなんです!
歌っているのがチャック・ベリーじゃないから!
それに尽きるんですよ。
皆200キロの剛速球をマスターして誰でも簡単に投げれるようになったものの、ちゃんとストライクゾーン、狙ったコースに投げられないという状況ですね。
何となくギターのフレーズだけを真似ていてもやっぱり違うんですよ。
このボーカルこそが真のロール感を生んでいるので、歌い手が変わるとその曲の魅力というのが半減してしまうことが多いんだと思います。
もちろん良いカバーもありますけどね。
ボーカルのリズムの良さは、先ほどの「メイビリーン」を聴いてもその感じは何となく伝わるかな?と思いますが、
カバーのほうを先に聴いてしまってチャック・ベリーの曲を知るケースも多いかと思います。
それによりチャック・ベリーの楽曲に対する印象が決まってしまって敬遠されてしまうのがちょっと心配で、そこでチャック・ベリーを知った気にならないで是非オリジナルを聴いてもらいたいですね。
具体的な楽曲の話に行くまでに、やはりだいぶ長くなってしまいましたねww
この辺にしておいて続きはまたの機会にしましょうかw
今日のところは最後1曲紹介してお別れしましょう!
キース・リチャーズとの「ネイディーン」
この曲も結構好きなんですよね。
たった2分30秒の中にも遊び心が満載で「ダックウォーク」も見れていい動画です。
サックスがボビー・キーズというのもいいですね。
書きたいことが上手くまとまらないので、とりあえずここまででまた後ほど続き書きたいと思いますw